只より高いものは…
もしあなたがラリーチームのオーナーだったとして、元ワールドチャンピオンから無給でドライブすると言われたら、どうしますか?
2003年のワールドチャンピオン、ペター・ソルベルグ(Petter Solberg)がAUTOSPORTに自身の心境を語りました。
「僕はこんなふうに選手権を終わりたくない」
「今年は辛いシーズンだった。でも来シーズン、僕自身と車に何ができるかはわかっているんだ。本当に続けたい。チームに伝えることがまだたくさんあるのもわかっている」
2012年にソルベルグが所属していたFord World Rally Teamは、メーカー兼スポンサーだったFord Motor Companyが2012年までで資金提供を打ち切ることを決定したため、スポンサー探しが急務となっていました。
そんな状況の中、Ford World Rally Teamはソルベルグに対して持参金を払えば運転してもらってかまわないという条件を提示し、ソルベルグ側はそれを断ったとされています。
「マルコム(Malcolm Wilson; Ford World Rally Teamのボス)の立場ははっきりと理解しているよ」
「しかしそれでも僕は以前4年間運転するためにお金を払ってきた。自分のキャリアをスタートさせるために運転に金を払いたがるような若い連中とは違うんだ」
「マルコムがやることは最高だ。このチームは最高だし、僕はその一部として来年とどまりたい。無給で運転する覚悟だってあるんだからね」
衝撃の発言ですねぇ。
で、最初の質問に戻りますが、あなたがウィルソンならソルベルグを雇いますか?
彼を雇った場合のメリットは、
- ファンが集まるのでファンマーチャンダイズ(グッズ)の売り上げが上がる。
- カメラマンやジャーナリストが集まるのでメディア露出が増え、広告宣伝効果が上がる。
そしてデメリットは、
- 車輛の破損が増え、修理のためにお金と人力が余分に必要になる。
- リタイヤするとテレビに映る機会が大幅に減るので、広告宣伝効果が下がる。
1と2はそれぞれ同じパラメータを引っ張り合っていますね。
1については、マーチャンダイズの売り上げ増加分で車輛の修理費用をまかなうことができるのかといえば、まあ無理でしょう。
2については漠然としすぎて管理人には何とも言えません。経済に強い人に算定してもらわないとだめですね。
先日、Ford World Rally Teamがカタールのアルアティヤを迎え入れることでスポンサー探しの問題はひとまず解決したわけですが、ソルベルグを取り巻く状況が好転したとは思えません。
知名度の低い売り出し中のチームならソルベルグ加入による広告宣伝効果を高く見積もれると思いますが、車輛を破損されては元も子もありません。結局フォードに限らずどのチームにとっても、ソルベルグを獲るということはリスクを取るということになるのではないかと管理人は思います。
2012/11/30